訳者選定のミソ

翻訳のお仕事2016/07/15訳者選定のミソ

★毎週金曜日更新★
翻訳にまつわる各職種担当者からのミニコラム第八弾！！
今回は、「訳者選定のミソ」について、翻訳コーディネーターの方にご執筆いただきました！
なかなか聞く機会はないけど、とっても気になるところですよね。
え、「上手」以外がミソ、、？！

コーディネーター業務のひとつに、「訳者選定」があります。個々の案件について、相応しい訳者さんを選ぶことです（社内では親しみを込めて、翻訳者の方々を「訳者さん」と呼んでいます）。それでは、コーディネーターはどのような基準で訳者選定をしているのでしょうか。「どうせ上手な人を選ぶんでしょ？」と聞こえてきそうですが、半分は正解です。ここでいう「上手」には、表現力、読解力、専門性、調査力など、翻訳をするうえで一般的に重要とされる内容が含まれます。ただし、「上手」なだけの訳者さんは選びません。「上手」以外がミソなんです。一つ目のミソは、連絡を取りやすいことです。
各コーディネーターは、繁忙期には30～50件ほどの案件を同時に処理することもありますが、泣いたり笑ったりしながら、迅速果断をモットーに日々業務をこなしています。こうした状況の中で、コーディネーターが最も途方に暮れてしまうのは、訳者さんと連絡がつかないときです。案件の打診以外にも、訳抜けの修正依頼や訳文内容の質問など、訳者さんに大急ぎで確認をお願いすることも多く、連絡をいただくタイミングによっては、最終翻訳物の品質に悪影響が生じることもあります。もちろん日中に別のお仕事をされている訳者さんは、すぐには連絡を取れないこともあると思います。ただ、短納期案件が増えている昨今、何らかの形で迅速な連絡手段を確保していただくことは、理想的な訳者さんの条件のひとつと言えるでしょう。二つ目のミソは、当たり前のことを当たり前にやってくれることです。
納品前の見直しを徹底すること、納期に遅れないこと、コーディネーターの指示を守ること、この3つを漏れなく実施していただけると後工程が非常にスムーズとなり、自ずと最終翻訳物の品質も上がる傾向にあります。訳者さんそれぞれのやり方があると思いますが、基本的なことを確実に行っていただける訳者さんには、コーディネーターは安心して案件を相談することができます。他にも、PCスキル、将来性、翻訳スピード、クライアントからの指名、実務での経験、専門外分野への対応力、協力度、営業／校閲の要望など、いろいろなミソがありますが、各コーディネーターの好みのミソ味を知れば、自然と案件の依頼が増えるはずです。

個性的なミソ味、大歓迎です。ぜひ最高のミソを仕込んでいただければと思います。

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