シロアリが教える「共生」
シロアリが教える「共生」
先日お伺いした大学の先生からの質問です。
「シロアリはどうして木を食べるんだろう」
シロアリは主に枯れた木を食べる生き物。ところが、シロアリには木の主成分であるセルロースを分解することができない。どうしてシロアリは、自分が分解してその栄養分を吸収することのできないものを食物としているのだろう。本来なら、自分で分解できないものを食べていれば、ずっとおなかを壊した状態が続くことになるのに…
実はシロアリは、セルロースと呼ばれる植物繊維を分解する能力を持つ微生物を腸内に飼っているため、枯れ木を食べてもおなかを壊さないでいられるそうです。これらの微生物のことを「共生生物」と呼びますが、シロアリは、この共生生物が後腸の中に住んでいるだけでなく、バクテリアも100種類近く共生しているそうです。これらの共生生物がシロアリの体重の三分の一を占めるほど!
つまり、シロアリは共生生物が分解し生み出した酢酸を栄養として生きているのです。
…この質問が示唆していること…
シロアリにとって共生生物は「共生」ではなく、「自分自身」。他者を他者として隔てれば他者。他者をも受け入れ自分の一部とすれば他者も自分の一部。簡単ではありませんが…