地球の反対側に、富士山?

地球の反対側に、富士山?

地球の反対側に、富士山?

富士山から地球の約半周も離れた地に、
富士の名を持つ山があるのを、ご存知ですか。
その名は、コルメナ富士・・・

もうすぐ新年ですね。
初夢の縁起物といえば、「一 富士、 二 鷹、 三 なすび」。
中でも富士山は、古くから信仰の対象として、
また、現代では幅広い分野でのアイコンとしても、
日本の人々に親しまれていますよね。
「ふるさと富士」「郷土富士」といわれる、富士の名を冠した山は、
全国各地に340あるそうです。(静岡県HPより)

そんな「ふるさと富士」は国を超え、地球の反対側にも在るのです。
南米パラグアイ共和国の首都アスンシオンから車で約3時間。
ラ・コルメナ市に近づくにつれ、見えてくるのが
「コルメナ富士 (Colmena Fuji)」です。

こんな離れた地に、なぜ富士山があるのか。
その背景には、かつて日本から南米へ渡った日系人の存在があります。

パラグアイには、現在約1万人の日系の方が住んでいます。
中でも初めに日本人が移住したのが、ラ・コルメナ市です。
ラ・コルメナ(La Colmena)とはスペイン語でミツバチの巣箱。
勤勉な日本人を象徴する、ともいわれています。

1936年、日本から遠く離れパラグアイに移住した方々は、
コルメナ近くにある小さな山、セロ・アプラグアを、
望郷の思いを込めて「コルメナ富士」と名付けたそうです。

移住当初は家も道路もない原生林に覆われていたそうで、
「食べ物もほとんどなく、作物を育てるのも大変で、
苦労を重ねながらも、町をつくっていったんだ。」
と、幼少期に両親に連れられ移住した1世の方が教えてくれました。
その後も、世界大戦、バッタの大量発生による農作物の甚大な被害、
苦しい生活が続いたそうです。
「コルメナ富士」を通して日本を想った日もあったことでしょう。

移住80年以上経過し、世代は3世、4世へと受け継がれています。
「コルメナ富士」のふもと、かつて原生林だった地は、
現在は、6,000人ほど(日系人は約7%弱)が暮らす街となりました。
移住が始まった5月15日は毎年、移住記念のお祭りが行われ、
日系人とパラグアイ人が共に祝います。

富士山からもっとも離れている(であろう)地にある「コルメナ富士」は、
距離も時間も超えて日本とパラグアイをつなぐ、
日系の皆さんにとってのふるさと富士なのだと思います。

新年、どんな初夢になるのでしょうか。
新しい一年が素敵なものとなりますように。